ごあいさつ
「天国。それは、
雲の上にあるのではなく、家の中にある。」
突然なに?と思うかも知れませんが、
これが、私が訪問看護をしていて毎日感じることです。
自己紹介が遅れました。
はじめまして、飯田かおりです。
私は、北海道で訪問看護をしている
27歳の看護師です。
ミレニアムの年に看護師として産声をあげ、
総合病院で4年4ヶ月勤めた後、
25歳で訪問看護の世界に飛び込みました。
私は、病院で勤めていた時、
「もっと患者さんのそばにいたい」
「患者さんのほんとの気持ちが知りたい」
と、日々の業務に追われる中で感じていました。
そんな時に、
ある末期の肝臓ガンの患者さんと出会いました。
名前は、大志さん(仮名)といいます。
年齢は40歳で、
奥さんと小学生のこどもが二人いました。
先生は、まず奥さんにガンの告知をしました。
そして、大志さんに伝えるかどうか奥さんに尋ねました。
奥さんは、
ただでさえ、夫が末期のガンと知らされて放心状態です。
その上、誰にも相談できずに、
夫への告知をどうするか、一人で考えなければなりません。
結局、
「まだ若いから本当のことを言うのがかわいそう」
という理由で、大志さんへは「肝硬変」という病名が告げられました。
そうです、うそをついたのです。
肝硬変という病名のもと、
抗がん剤治療が開始されました。
抗がん剤というのは、ガン細胞を壊すだけでなく、
本来人間に備わっている正常な細胞も壊してしまいます。
そのため、
薬の副作用で食欲が無くなり、体が常にだるくなります。
大志さんは、ベッドに横になっていることが多くなりました。
さらに、ガンの症状も進行して、
お腹の痛みが出てきて、
足がぞうのようにパンパンに腫れます。
そして、大志さんの表情から笑顔が消えました。
・・・肝硬変で治療しているはずなのに、
どうして治らないのか?
どうしてこんなに苦しいのか?
もしかして僕はガンなんじゃないか?
そのことを家族は隠しているんじゃないか?
いやそんなはずはない。
もうちょっと治療を続ければ治るはずだ・・・
そんな風に大志さんが思っていたかどうかはわかりません。
でも、なんにも聞かずに、
眉間にしわを寄せて横になっていた大志さんを思い出すと、
心の中ではきっといろいろな葛藤があっただろうと思うのです。
そして、
ある夜に容態が急変しました。
奥さんが付き添う中、
小学生の子供さんと実のおかあさんが病院に到着しました。
しかし、
「こんな夜中に子供や母親が面会に来たら、
大志さんが自分はもうだめなんじゃないかと疑うかも知れない。」
という理由で、
子供さんとおかあさんは、踏み台に乗って、
病室の窓の外から、泣きながら覗いていました。
その夜、
大志さんは、亡くなりました。
私は、大志さんに何度も何度も
「ごめんなさい」「ごめんなさい」と謝りました。
最初に病名をお伝えできなくてごめんなさい。
治療を自分で決めるという道をとざしてしまってごめんなさい。
なんにも聞かずに横になっている大志さんを、
黙って看ていてごめんなさい。
最期の時、
子供さんとおかあさんに会わせてあげられなくてごめんなさい。
大志さんの人生を、大志さんから奪ってしまってごめんなさい。
くやしいでも悲しいでもない、
何かが狂ってしまっている、
もう看護が恐ろしい、と私は思いました。
でも、
何日も何日も泣いて、
「ごめんなさい」だけじゃ、
大志さんに本当に申し訳ないと思うようになりました。
大志さんは、
「人の人生を勝手に操ってはいけないよ。」
「一度うそをついたら、
そのあともずっとうそをつかなければならなくなるんだよ。」
「看護は誰のためにあるのですか?」
と身をもって教えてくれたのではないかと思ったのです。
それから私は、
「看護の中心は患者さんだ」ということを、
どんなときでも一番大切にしたいと思いました。
大志さんの死から半年後、
私は訪問看護の世界に飛び込みました。
自分の意志で、その人らしく人生を生きる
ための看護ができると直感で感じたからです。
実際に訪問看護を始めて、
その直感は間違っていなかったと思います。
住み慣れたお家の布団で寝る
愛する家族と一緒に生活する
どこに行くでもなく、ただ自分の家で生きる
そのことが、
どれだけ人に「その人らしさ」を与えることか!
一人ひとりの生き生きとした表情や、
ゆったりと流れる「その人の時間」に寄りそうとき、
「天国は雲の上にあるのではなく、家の中にあるんだな〜」
と感じます。
「看護の中心は患者さん」を貫ける場所。
それが訪問看護だと、私は確信しています。
あなたは今、
訪問看護についてどう感じていますか?
「ちょっとやってみたい・・・」
「興味はあるけど具体的に何をするの?」
「私でも訪問看護師になれるの?」
「私には向いてない・・」
等々、いろんな思いがあると思います。
「訪問看護をやってみたい」
「訪問看護ってどんなことをするのかな〜」
と思ったあなた、
そう!
私はあなたを応援します。
天国の世界であなたと一緒に看護がしたい。
そんな想いでこのサイトを書いています。
じゃあまずは、
訪問看護って何なんだろう?
一緒に考えましょうね。
一人でも多くの方に、
訪問看護のことをお伝えできればと思い、
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